研究内容

ベイズ検定

現在はベイズ検定に関する研究をしています。検定とは、パラメータに関する仮説(帰無仮説)がもっともらしいかをデータから判定する統計的手法のことです。「もっともらしさ」を評価する際、当然ですが比較対象がなくては帰無仮説が「もっともらしい」かどうかを測ることはできません。その比較対象となる仮説を対立仮説とよびます。例えば、確率モデルを正規分布\(N(\mu, \sigma^2)\)として、 \[ 帰無仮説: \mu = \mu_0 \] \[ 対立仮説: \mu = \mu_1 \] のように仮説を設定します。そして、手元にあるデータを用いて帰無仮説がもっともらしいかを判定します。

もちろん仮説の置き方は様々考えられますが、パラメータを確率変数とし帰無仮説と対立仮説を確率分布(事前分布)で与えた場合、分配関数の比を用いた検定が最も性質が良いことが知られています。

最良の検定手法が分かっているのにこれ以上研究する必要があるのか?と思われる方も多いと思うので、簡単に説明をします。「もっともらしさ」は手元にあるデータから計算される量を用いて測られると先ほど言いましたが、その量もデータにより変化するので確率変数です。また、この確率変数は確率モデルにも依存します。この確率変数のふるまいがわかっている時、我々は検定を作る(「もっともらしさ」を測る)ことができるわけです。

確率モデルとして正則なモデルを設定した場合、その確率変数の挙動は解明されていますが、特異モデルである場合の確率変数の挙動は一般的にわかっていません。したがって、個々の問題に対して個別に考える必要があり、そこは研究するべき領域となります。

深層学習による脳状態の特定 (学士論文)

DLによる脳状態の特定
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fMRIに代表される,脳機能測定技術の開発によりヒトの脳活動データが容易に得られる時代になっています.脳活動データから,その人物が今何を考えているのか (どのような脳状態にあるのか) を特定することで精神疾患の診断支援システムや,Brain Machine Interface の実現が期待されます.

学士論文では,深層学習により脳状態の特定を試みました.具体的には,脳活動データを単に時系列データとみなし,Recurrent Neural Network により解析を行いました.RNNは系列データのトレンドを学習し,未知の観測値を予測するというタスクで使用されることも多いですが,ここではNLPの分野で提案されたRNNによるテキスト分類手法を参考にネットワークを提案しました.(Recurrent Convolutional Neural Networks for Text Classification Siwei Lai, Liheng Xu, Kang Liu, Jun Zhao, Chinese Academy of Sciences, China AAAI. 2015. )

実データを用いた数値実験により,私の提案手法は時系列データ長がより短い場合に既存手法を特定精度で上回ることを確認しました.つまり,より短時間の脳活動データから有効に脳活動を特定できることになります.これにより,fMRIでは被験者の頭部固定時間の短縮,Brain Machine Interfaceではよりリアルタイムに近い挙動が期待されます.

本研究は「深層リカレントニューラルネットワークを用いたfMRIの解析及び脳機能の解読」というタイトルで第28回IBISML研究会にて口頭発表を行いました.